小説家志望 涼歌・サー・キッドの本の本当のところ

年間100冊を目標にするわたくし、涼歌の涼歌による涼歌のための本の感想ブログ。たまに自作小説も掲載予定。

【第4回】死にぞこないの青(7/22読了)

涼歌です。

今回は、乙一さんの小説「死にぞこないの青」です。
※読了時期が色々と前後していますが、あしからず。


生徒からの信頼と教室の秩序を守りたいという理不尽な理由から、「羽田先生」は「僕(マサオ)」を吊るし上げ、いじめの標的に仕立て上げる。

そんなマサオの前に「アオ」という得体のしれない存在が現れる。
右目は接着剤で塞がれ、唇には紐が通され、片耳と頭髪がない。顔は真っ青。だから「アオ」。
※今書いてて気がついたけど、真っ青→まっさお→マサオなのか?(遅い?)

最初は全て先生の言うことが正しくて、自分が間違えていると思い込んでいたマサオだった。しかし、アオに諭されるうちに、いつしか先生を殺さなければと考えるようになり、、、というお話だ。

とにかくもう、この羽田先生の理不尽具合が非常に不愉快。
授業を長引かせる理由もマサオのせい。宿題を出す理由もマサオのせい。
宿題をしてきても、重箱の隅をつつくように細かい部分を指摘し、
また完璧に解いたら解いたで、「だれか他の人に解いてもらったでしょ」
とマサオのことを一向に信じない。
物語だとは頭で理解していても、「アオ、先生をどうにかしてくれ」
と願わずにはいられない。
物語終盤でマサオが優位に立つシーンになって、フラストレーションは
ある程度解消される。
 
ストーリーとしての系統は「夏と花火と私の死体」に近いのかな・・?
個人的には「さみしさの周波数」とか「暗いところで待ち合わせ」とか
の方が泣けてすきだけど。

ストーリーとは直接関係ないが、作家を志す身としては、あとがきの文章で非常に勉強になった文章があるので、紹介したい。

『作中で主人公がおよそ子供らしくない語句を用いて思考していますが、
その点についてツッコミを入れられたらどうしようかと思っています。
僕は基本的に、語り手の年齢が低くてもあまり気にせず地の文ではさまざまな言葉を使用しています。それは、「言葉」そのものは幼いために知らなくても、その「言葉」が意味するものは名づけられないまま頭の中に収まっていて思考しているにちがいないと受け止めているからです』

この言葉を受けて、私は書く幅が広げられそうな気がします。

■評価(10段階、5が平均値)

★6…内容としてはスラスラ読める。かなり読みやすい。


今回はここまで。