記念すべき第1回の投稿。
涼歌(すずか)と言います。 
 
私は小説・自己啓発本を中心に年間100冊の本を読むことを目標にしており、
読了した本について、恐れながら書評・所感を書いていきたい。
※たまに自作小説も載せていく予定です。

以下、本題。
(今更ながら読了)

交通事故の後遺症で記憶が80分しか持たない数学者の「博士」と、その家政婦の「私」、そして私の息子で10歳の「ルート」3人を取り巻くお話。博士はもちろん記憶が蓄積されないため、私やルートのことを覚えることはできず、いつも初対面。でも彼らの間のやりとりはいつも優しさと愛に溢れている。記憶障害があるなんてまるで嘘のように。本当のところ「記憶」なんてものは、さして重要なものではないのかもしれない。共に過ごした時間を—脳は覚えていなくても—心が覚えている。そんなロマンチックなことを本作は読者に感じさせるのではなかろうか。

個人的に、ルートが高校生、大学生と成長しても、博士との関係性を大切にしているところが凄い好きだ。思春期はとても複雑な時期で、「昔は仲良く遊んでいた友達と疎遠になった」なんてこともよくある話だ。だからこそ、そこにルートの人柄の愛おしさを感じるのである。

ところで、ルートがセカンドを守ったことにも意味はあるのだろうか。
2(=セカンド)で、素数という点に作者の遊び心があるのか?深読み?
(背番号的には4ともとれるが)
※他にも、細かいところで遊び心を忍ばせている箇所は多くあるかもしれない。

どうでも良い話だが、
オイラーの公式について、eのπi乗が「いっぱいの愛情」と読めるところが素敵だ。(少し無理矢理)
 
■評価(10段階、5が平均値)
★6…中高生にオススメ。
※似た設定の作品で映画「ガチボーイ」というのがあるが、それもとても素晴らしい。

以上。